人の陣痛が開始してから出産までを分娩時間とすると、平均15時間もかかるという。哺乳類の中で、こんなに痛い時間が長いのは、人間だけと言われている。
人間に近いチンパンジーと比べても、約2倍も長い。他の動物たちと比べると、より差は明確だ。
たとえば、ウサギは草を食べながら、何ごともなかったかのように多産することで有名。ちなみに、雑誌「プレイボーイ」のシンボルマークがウサギなのはウサギがよく繁殖することに由来する。
また、犬もお産が軽いことが知られている。これにちなんで、「戌の日」に安産祈願をしたり、妊婦がお祝いしたりする文化もあるくらいだ。
生き物によって出産には様々なドラマある。今回はサンゴの出産について調べてみました。
沖縄産卵の時期は5月か9月満月の夜
サンゴは5~9月にかけて満月の夜前後、産卵します。 種類によって生む月は異なります。 一般的にサンゴの産卵と言うと5~6月のミドリイシの仲間の産卵のことを指す場合が多いようです。
サンゴは無性生殖で増殖する場合もありますが、有性生殖も行います。精子と卵がつまった「バンドル」という小さなピンク色の丸いカプセルをいっせいに海の中に放出します。そのカプセルが海中ではじけ、精子と卵が結びついて新しいサンゴが生まれるのです。
サンゴの産卵時期は種類によって異なり、沖縄の場合、最も普通に見られるミドリイシ類の多くは5~6月、キクメイシ類などの多くは8月に産卵します。ほとんどのサンゴの産卵は年に1回。水温の季節変化に卵成熟を同調させ、1年近くの時間をかけて産卵の準備がされているのです。
卵が成熟すれば産卵は可能ですが、成熟してすぐに産卵するわけではなく、多くのサンゴが満月の頃を待って一斉に産卵します。この産卵日の同調性には、月齢周期と日没からの経過時間が影響を与えているようです。産卵日の同調性は地域によってさまざまで、オーストラリアのグレートバリアリーフでは満月の2~3日後に100種を超えるサンゴが一斉に産卵しますが、このような同調性の高い産卵は他の地域では希で、沖縄など多くの地域では産卵日がばらける傾向にあり、産卵直前の天候などによっても影響を受けるため、産卵日を正確に予想するのは難しいようです。
ミドリイシ
キクメイシ