役割
水中で人間は浮くようにできているのだが、ある程度の水深を過ぎるとマイナスの力が強くなり、沈み始める。
そうした浮き沈みを調整するために開発されたのが、BCだ。
BCD、BCJなどと呼ばれるが、BCは“Buoyancy Compensator”(浮力調整)の略で、
Dは“Device”(装置)、Jは“Jacket”の略。
このBCが開発できる前までは、タンクにハーネスのみを付けて潜るやり方から、救命胴衣を利用して浮力を調整していた。
それが、BCにインフレーターホースやインフレーターを用いたことによって水中で楽に浮力調整することができるようになったため、ダイビングが気軽にできるようになり、女性でも気軽にダイビングを楽しめるということがわかり、飛躍的にダイビング人口が増えたのだった。
BCのタイプ
1970年代に最初に登場したBCは、赤ちゃんの使うような前掛けの形に似ていたが、それからジャケットタイプに進化し、さらにサイズの調整をラクにするショルダーベルトタイプ(フロントアジャスタブルタイプ)が登場。
さらに、浮力を背中に集めるためのバックパックタイプも登場し、近年はショルダーベルトタイプ、バックパックタイプ、ジャケットタイプの3タイプが主流となっている。
また、BC内の空気を給排気するインフレーターも、引っ張るだけで排気できるタイプ、BCに組み込まれたタイプなど、進化している。
ウエイトを腰に着けると、いざというときに脱着が大変なため、脱着を簡単にするウエイトパックを収納できるタイプなどもできている。
さらに、タンクを留めるためのタンクベルトにもさまざまな工夫が。
BCはぜひ自分のものを持っていてほしいのだが、購入する際は、細かくチェックして、自分の好みのものを求めるようにし、購入後も各部を触ってみて、使える機能は可能な限り使えるようにしよう。
スキルとの関わり
BCこそマイ器材として購入してほしい器材。
というのも、中性浮力をとることと大いに関わりがあるからだ。
仕事柄、いろいろなエリアでいろいろなタイプのBCを使わせてもらうことが多いMD編集部&カメラマン。それだけにどんなBCも使いこなすのが早くなるというワザも持っていて、新人の頃はもらった大きめのBCをプライベートに使っていた筆者。
使いこなせるのだが、大きすぎるということにあまり気づいておらず、ある時借りたBCがジャストフィットで、中性浮力をとるのがとにかくラクだった。
「ジャストフィット」ってこんなに違うのか~!と大感激した次第だが、大きいと浮力が余計につくし、抵抗もあるから泳ぎにくかったりもして、いいことはなかったことに後になって気づいた。
インフレーターや緊急排気バルブでの給排気に慣れることはもちろんだが、サイズが合っているかどうかも、スキルには大きく関わってくるということだ。
役割
万が一、レギュレーターのほうのセカンドステージに不具合が生じたときのバックアップのための器材。
また、バディがエア切れになったり、やはりレギュレーターに異常が生じた場合などに貸してあげるのにも役立つ。が、こちらは、あくまでも緊急時の使い方であって、本当の意味では、自分のためのバックアップだと思っていていい。
オクトパスのタイプ
レギュレーターのセカンドステージとほぼ同じものだが、色を変えてわかりやすくしたり、少しでも重量を軽くしようと、軽量化したりしているものも。
また、バディを助けるために、中圧ホースを長くしてあるものもある。
なお、オクトパスは日本では左から出している人も多いが、自分のバックアップのためにあるのだからと、海外ではセカンドステージと同様、右から出している場合がほとんど。
スキルとの関わり
万が一の際に使うものなので、呼吸がしっかりできるかどうか、 潜る前に必ず確認しておこう。